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竹林の屋敷

あふれでるパッションが投げ捨てられる、そんなブログ。

万城目学 - 『鹿男あをによし』を読んだ

鹿男あをによし』、面白すぎた。ちょっと今衝撃を受けてる。いやまぁぼくはそんなに小説は読まないからちょっと面白ければ結構簡単に衝撃を受けちゃうんだけど、それでもこの作品は格別でした。作者は万城目学京都大学卒。だから気になってて、手にとってみた。同じ京大卒の作家森見登美彦が好きだからね。



この作品の何が面白いって、構成の緻密さと展開の仕方。京大卒だし、森見登美彦と同じで、文体と奇天烈頓狂さで楽しませるのかと思ってたけど、ちがった。話が練りに練られてるし、所々で話の謎がうまく提示されてるし、節々でヒントが示されてて、手がかりがあって、なんとなくこんな感じで決するんだろうな〜とボンヤリ考えられるけど、決定的なとこがかけてたりとか、一部うまく繋がらないとこがあったりとかして、解決の糸口はたくさん見えて、糸先もチョロっと見えるけど、途中でほつれにほつれててよく分かんないみたいな。そんな感じだから先が気になるし、ページを繰る手が止まらない。しかも最後の解決が綺麗だから、とってもカタストロフィ。いやぁ、久々にテンション上がりましたねぇ。


鹿男あをによし』は登場人物がみんな魅力的。いい小説はどれもそうだけど、実際にいそうで、でもそうそういなくて、本当にいたら絶対に愛せる、そんな人ばかりが登場する。みーんな実直で、人間らしい。描き方がうまいから、想像するのが容易。読者がその人をイメージができて「ああ、こんな人いるよね。うんうん」ってなるけど、実際のところそんな人は滅多にいない。絶妙なラインでキャラ付けがされてて、この作者は人間のことをよく知ってて、人間の営みが大好きで、いろんな人と交わってきたんだろうなと思った。ぼくも人間が好きになった。

そうはいっても、作家にとって、愛すべき登場人物人物を置くことは実は簡単なのかもしれない。だってプロだもん。でも、この物語のスゴイところは、愛すべき登場人物が、みんな物語のなかで役割を果たしているところ。一人一人が物語の駒となって、話を動かす歯車になってるんだけど、作者によって役割を与えられてる感じは全くしない。自然で魅力的な人間が、自然な流れで、いとをかしき物語を作っている。こういう作品は面白い。


最後の面白ポイント。『鹿男あをによし』、舞台の中心は奈良で、色んな寺や神社、古墳、それにまつわる歴史と神秘が描かれるんだけど、そういう要素が、単なる物語の要素にとどまっていない。作品の素材として取材して調査して表現されたんじゃなくて、作者の万城目学は歴史やオカルトが本当に好きで描いたんだろうなと思った。作品に愛がこもっていて、だから物語が躍動する。これは作者の人間愛にも通じるところだろうな、と思う。


本当に魅力あふれるお話で、これから万城目ワールドをどんどん掘っていこうと思いました。おわり